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~初めてこのブログに来られた方へ~
当ブログにご訪問頂きましてまことにありがとうございます。
『ネット検索して特定の種類の情報を収集するためだけにここへ来られた方』や
『既にここのブログで多数の記事を読んで下さっている方』、『ブログを通して交流のある方』
上記以外での初めてこのブログに来られた方には、
もちろん無理には勧めませんが出来れば第1回目の記事をまず読み流して頂ければと思います。
どんな方向に向かっていてどんなスタンスでやっているのか分かると思います。
すみませんねぇ、なんか押しつけがましい性格みたいです・・・

五本大作戦・第一部 ‐オヤスミナサイ‐ [ゴホンヅノ (原名亜種)]

今年の9月、前回から実に8年振りに飼育したゴホンヅノカブト。

今回2ペア入手しそれぞれ単独でセットしたのですが、
現在までの経過を順を追って振り返ってみます。


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ゴホンヅノのブリードでまず厄介なのがマットの選定
今も昔も世間では「ひとクセある」と云う見解でほぼほぼ変わらないワケでして、自分も過去2回いずれも採卵には失敗してはいないのですがいまひとつコツのようなものは掴めておりませんでした。
そうなると、より成功の確率が高い物を求めてこれまでと違うメーカーのマットを試してみたくなってしまうワケです。
ゴホンヅノの産卵について個人的に思ったことはまた後述しますが、
取り敢えずゴホンヅノの購入に先んじて、今まで使ったことが無い店のカブトマットAとします)を20リットル分購入したところ・・・これがちょっと失敗でした。
到着したマットを見て呆然、チップがだいぶ粗く明らかに『幼虫用』のマット。微粒子でもなければ産卵で大事な粘り気も全く感じられません。一応、「産卵にも効果を発揮する・・・云々」と云った説明があったので期待したのですが、心配になってきました。

なんとなく「これは加工しないといかんのでは?」と感じて、混合のマットにしてセットすることにしました。
テストの意味も含めて、2頭それぞれ別の物をマットに混ぜることにしました。

1頭目・・・9月23日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットA水苔
【温度】 22~23℃
まずはカブト産卵でもよく見る水苔を混ぜたセットです。
勿論、水苔は転倒防止用に地上に敷き詰めておくのではなく、マットとしっかり混ぜて産卵床として使用します。とは言ってもカブトのセットで水苔を入れるのは初めてで、分量も分からないので感覚的な量で配合します。
ケースの8割の深さまで混合マットを入れ、そのマットの3割程度は手でギュッと押し固めて、7割は均すだけにしておきます。
ゼリーと親♀を入れたらフタをして温室へ入れました。

2頭目・・・9月24日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットAけと土
【温度】 22~23℃
1頭目と違い今度はけと土を混合しました。
けと土を選んだのは単純に粘り気増強の為で、以前轟沈したインペリアリスのマット原料の余りを転用しました。言わずもがなこれも配合は目分量です。
虫作業をこの日手伝ってもらっていたパンドラにこのマット詰めをしてもらい、けと土以外の工程は1頭目と同じで8割詰めの内3割固詰め上ふんわり。

ちなみに両方ともセットを組む前日♂と追い掛け済み。


セットはこれで完了したワケですが、
水苔やけと土が混ざったマットでは産卵は良くても孵化後の幼虫には合わないだろうという事で、5日後の29日には初令幼虫用に、デリケートな種類に有効と云う話を目にしてこれまた別メーカーのカブトマット(これをBとします)を10リットルだけ購入しておきました。


そして数日経過し、
セットした内の1つに怪しげな様子が目立ってきました。

それは、はじめにセットした水苔の方でした。
最初にセットした時はきちんと均していたマット表面はケース壁面に沿ってえぐり抜かれ、四角い側溝状に押し固められていました。明らかに、マットが気に入らず徘徊していた痕跡です。
直ぐにセットを解体して別メニューに組み直しておけば・・・と今になって思うのですが、生き物相手だと最後まで何があるか分からないと思いとどまってしまうものですし、結局そのままセットを続行してしまったんですよね・・・
ちなみに、この時点ではまだ採集脳のままでありまして、この状況を確認した次の日曜にはヒメオオを採りに大間に行ってしまってたんですねェ
(こりゃダメだわ・・・)




そしてさらに数日と間も無い内に、その日はやってきてしまいました。

  水苔セットの親♀が死亡。

歩き疲れ果てたようでした・・・

セットからそう間もない内に1♀が逝ってしまい、
流石に焦りを覚えまして翌週の10月8日に2セットの試し割りを行う事にしました。
けと土の方は依然潜ったままでしたが、地中で果てている可能性もあるし、割り出して産卵が行われていなければ急いで別メニューで組み直さなければなりません。


水苔の方のケース(♀死亡)
まずは親が死亡した水苔のセットから割出してみました。
ケースをひっくり返してみると、悪い予感は的中。マットの内部まで掘り進んだ形跡は無く、表層7~8cm程度の深さまでしか潜っていませんでした。マットに変質や劣化も見られません。
一応マットはバラしてみましたが、やればやるだけ悲しくなるばかりでした。
CA3I0909.JPG
死亡した親♀↑↑
悲しくなるほどピカピカのキレイな状態で死んでいます。今にも起き上がりそうなくらいです。

けと土の方のケース(♀生死不明)
もう望みはこっちのセットしかありません。♀は地上に出てきていないので中で死んでいるかまだ生きてるのか全く判らない状態です。
CA3I0910.JPG
ただしこっちには、きれいに潜行した痕跡があり産卵の期待は少なからずあります。

早速ケースをひっくり返してみると、マット中層からまだ生きていた親♀が出てきました。フ節が1本欠けていますがまだ元気そうです。
そして続いて、ひっくり返したマットの底部を少し崩してみると・・・

CA3I0911.JPG
卵!!!!
よかった・・・全滅だったらどうしようかという心配はあっさり拭えました。
僅かなスペースを崩しただけで5~6個の卵が出てきたところで、これ以上は孵化まで放置した方がいいと判断して割り出しをすぐさま中止し、マットをそのままケースに戻して温室で保管することにしました。

出てきた卵は別容器で保管することにしまして、
親♀は同じケースに戻さずに新しいセットを組むことにしました。
CA3I0912.JPG
2頭目・・・10月8日
【容器】 コバエシャッター大
【マット】 カブトマットBけと土(微量)
【温度】 22~23℃
マットの在庫の問題もあって、当初割出し後管理用に購入していた前述のマットBを入れることにしました。一応けと土も混ぜたには混ぜたのですが、ほとんど使い切ってしまっていて入れたのか入れてないのか判らない程度しかありませんでした。(分量で云うと2~4%くらい?)



ちなみにこの約3週間後、
ゴホンヅノについて喜ばしいニュースが発表されたのですが
それを自分が知ったのは12月になってからでした・・・



試し割りをしてから1ヶ月後の11月5日
採卵して管理していたカップから幼虫が多数確認できたので、その分の個別管理に着手しました。
割り出してみると1令幼虫が4頭と膨らんでいる卵が1個、計5頭を120㏄カップへ移しました。マットは、再セットした♀を入れているケースのカブトマットBを表層部分から少し頂戴し詰めました。
・・・ちなみに、残念ながら再セットしたこの親♀はこの時もう地上で亡くなっていました。



そして、さらに2週間経過した11月19日
CA3I1005.JPG
9月24日に組んだ最初のけと土混合ケースの方に初令幼虫が見えはじめていたので、事情も諸々あるので割り出すことにしました。
まぁ、事情と云うのは・・・季節コバエって部分です。
(コバエが湧いてしまっているので室内で割り出せないし、冬になってしまったので寒さが厳しくならない内に屋外で作業しないと後々辛いからです)

とは言っても実際の所お外はこんな感じ↓↓
CA3I1008.JPG
全然冬(辛) 雪も吹いています。

さすがに雪の上で作業するワケではないですが寒い・・・!
ケースをひっくり返してマットを出すと湯気が立つ(苦笑)
CA3I1006.JPG
コバエも凍ってほとんど動かない状況で、粛々とマットを割っていきます。
継続的にポロポロ出てくる1令幼虫にニヤニヤが止まりません。採れた幼虫を次々に製氷トレイに移し、凍らせていきます。

CA3I1010.JPG
マットを全て砕き終えて、採れた合計は25頭
・・・俺が組んだ水苔の方は無反応だったのになにこの差は・・・、前々からちょっと思ってたけど、女性ってカブトムシ産ませるの上手だよな(偏見)

ちなみに、採れた全ての幼虫は底部の固詰め層からのみ出てきました。
爆産・・・とまでは言えない数字でしたが、自分のやり方ではこの結果は大成功と呼べる結果になりました。できればこの調子で、再セットのカブトマットBのセットからも追加が欲しいところです。

採れた幼虫は、8年前に本種を産ませた時の別メーカーのカブトマット(これをCとします)と、さらにまた別メーカーの腐葉土(昆虫飼料メーカー)を混合して120ccカップに個別に移しました。
しかし、このやり方が後に最悪の事態を招く事になりました。





時は(たしか・・・→)11月25日、虫屋の納会に出席する準備で手製カレンダーを徹夜で仕上げていたその朝でした。

作業の気晴らしに、19日割り出し分の幼虫達の様子を見ようと温室を開けると、





し、死んでる・・・!!!!!!!

ほとんどと言っていい数の幼虫が茶色に変色して動かなくなっています。中には萎んでいる個体までいます。ほぼ全てがカップの上部や壁面で息絶えています。
軽いパニックになりながらも、死亡個体と生存個体でカップを分けていきます。
さすがにこれだけの数が1週間もせず死んでしまうのか? カップ投入時には何らおかしな様子は無く元気だったので、割り出しで何かショック状態になったとも思えません。

手に持ったカップを開けてポカーンと見ていたら、何か違和感に気付きました。
・・・・・・このマット、ちょっと水気が多くてやけにぬらぬら光ってる・・・
・・・・・・・・・ん?・・・あれ?・・・なんかちょっと温かいような・・・・・・・・・・・・もしかして・・・

・・・再発酵・・・??

マットを混合した上、水分も多い。
結局のところ原因は確定できないのですが、要因としては非常に考えられることでした。今よくよく考えればカブトマットCだけで良かったところを、産卵時の感覚で「混ぜるのが良い」と考えなしに要らぬマットを加えたのは何故だったのか。しかもナゼ腐葉土なのか。加えてこの腐葉土、ミキサーで粉砕して微粒子化すると云う無駄な手間まで掛けていた所為で再発酵しやすくなっていた可能性も高いのです(恥)
再発酵した結果酸欠状態になり窒息してグッタリ・・・という事か・・・

とは言え時間が無いので、何とか生存している分のカップはマットを半分に減らし、フタを開けておいて換気させておくことに。
その後話を聞いたFH鈴木さんには呆れ顔をされました。

鈴木さん 「だ~から〇〇〇のマットは使うな、って言ったろ~~(呆)」



最終的に、25頭居た19日分の幼虫は4頭に減ってしまい安泰だったブリーディングライフも苦しくなってきました。2ペア仕入れた事を考えると汗顔の至りです。

幼虫の頭数を2桁確保するには最後のセットに望みを託すしかありません・・・!
親♀も死亡し、暴いていないカブトマットBのセットを暴いたのは去る12月8日
ケースの側面がややカビてきている事に一抹の不安を覚えながら、新聞紙の上にマットをひっくり返します。マット~をあーばーけーー♪♪ CA3I0026.JPG
(あ・・・! これはダメなパターンのヤツだ・・・)

・・・どうやら・・・これはアレだね・・・失敗ってやつだね。

CA3I0025.JPG
初っ端からこんな死亡卵が見えてしまったんだから心も折れるさ。なんでそんな真っ黒なんだよ、大涌谷にでも浸かってきたのか!!

この卵も含めて、2個だけ死亡卵が見つかった以外には何も出てきませんでした。




と云うワケで、
今回のゴホンヅノ産卵の結果は・・・

♀その1
  ・・・【カブトマットA水苔】⇒ 0個

♀その2
  ・・・【カブトマットAけと土】⇒ 第1回割出:卵5~6個、第2回割出:幼虫25頭
  ・・・【カブトマットBけと土(微量)】⇒ 0個

     →存命 第1回割出分:4頭、第2回割出分:4頭合計8頭


瞬間的に30頭を見込めた頭数が今となっては3分の1以下です。まさかこんなミスでブリーディングを失速させてしまったのにはただただ情けなく思うばかりです。
ただ、今回の事や前回までの感覚を振り返るに、産卵について巷で語られている話に対して思うところがあるので、今の時点での自分の考えを敢えて下にまとめておきたいと思います。

ゴホンヅノカブトの産卵については、昔から「どんなマットを使えばより確実に成功するか」が問われその度に新しい意見や経験談が上がり振り出しに戻ってを繰り返しているような気がしますが(今する話もその中の一つに過ぎないかも知れませんが)、その原因の要素として「性格の部分での個体差が激しい」と云う点が実は大きいのではないかと思うワケです。

こんな事を言ってしまうとにっちもさっちもいかないのですが、こう言っておきたい理由にまず「アタリの♀orハズレの♀の解釈の仕方」があります。
産卵数がその個体個体によって大きく上下する本種は俗に「♀の当たり外れがある」と言われてますが、その意味をどう解釈しますか? 普通ならば、「WILDだから野外で産卵をほとんど終えている♀がハズレ、まだ産卵していない♀がアタリ」と考えるところですが、ちょっと待ってください。
セットを組んで回収ゼロもしくはごく僅かしか採れなかったセットの♀でも、購入時やセット前に手に持った時には「ズッシリ重くてこれなら産むぞ」と期待したのではないでしょうか。カブトムシなら産卵が終わってれば軽くなってスカスカな感じが手に持てば分かるはずです。比べてないのにそんなの分かるワケない! と言い訳も立ちますが、産卵数ゼロでビックリしてしまうという報告が多いのはそれだけ当初の期待が大きかったワケですから・・・。いかにもボロボロで状態が悪いと云うような♀でなければ気合を入れてセットを組んでいるハズです。
今回投入した♀2頭共、体重までは量っていないですがこのサイズのカブト♀としてはきちんとした重みがあって差異は感じられませんでした。これを見るに、他の要素も作用してきますが「産まない(ハズレ)のは卵を持っていないから」とは言えないのではないかと思うのですよ。

そしてもう一つの理由に「マットの正解」についてです。
産卵数の多少が激しい所為か、飼育者は「マットの銘柄」にばかり意識を向けがちですが、それよりもまだ大事なのは「マットの状態」ではないか・・・と思うのです。有力とされる竹主体のマットでも外したという話はありますし、通常のカブトマットや腐葉土なんかでも産卵すると云う事は、マットの成分によって・・・ではなくてマットの状態・質感が大事なのではないかと。勿論、カブトの飼育に長けた方々はゴホンヅノ等気難しい種類用に極めたマットの仕込み方があると思うんですが、どれだけネットで探っても「ゴホンヅノはコツ掴みました! 攻略しました!」と云う書き方は見つかりません(あくまで自分調べでです)。多産したと云う方でも「え!? ウソ!? 凄い!!」と望外のリアクションを綴る場合がほとんどで、「自分は相性いいみたいです」と云う方であっても、一度成功した次のシーズンの続報が無いパターンがお約束です(これって、「分かった」と思われるレシピで別個体を投入したら思いの外ふるわなかったからなのではないかと)
一度成功を納めたセット内容だからと言って別個体の産卵で結果が大きく違ってしまうと、これはもうマットの種類がどうこう言う問題ではないと思うんですね(勿論不正解のマットの例はありますよ、化学肥料とか混ざってた腐葉土とか)
反面、途中で思い切ってマットの種類を変えたらなんとか産んだとか、逆に今回の自分のように産まなくなったと云う例もありますし、その転向したマットの種類も画像を見る限り千差万別です。これって、非常に一面的な見方ですが、WILD♀各個体のマットの好みがバラバラで、セットしたその時に気に入った環境(≠マット)でなければ卵を持っていても産み渋るからなのではないかと思うワケです。

ここまででメチャクチャな事を言ってる気しかしませんが、飼育に際してこういう発想の仕方も有りなのかなと思います。(長文のクセにメッセージが薄い[バッド(下向き矢印)]


↑↑ただし、成功した時の傾向はある程度あるみたいで、
いくつか違う種類のマット層に分ける(虫が潜っても層の違いを認識できないと無意味)
軟詰め層と固詰め層に分ける

そして加えて上記のダラダラ長文から
徘徊したり潜りが浅い場合は何でもいいからマットを変える

これらを意識すると、なんとか悪い現状を打破できるのではないかと思います。
ヘラクレスやなんかみたいな簡単に爆産する奴らとは違いますから、5個10個としか採れなくても「あ~、失敗☆」とか思わない方がいいでしょう
採れただけでいいじゃねェか調子乗るな!

・・・でもこれって↑↑、別に大した工夫してないような・・・ ・・・ ・・・ ・・・。


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さて、こうしてバタバタ色々あって(いろんな意味で「バタバタと」・・・だった)ゴホンヅノのWF1飼育がスタートしたのですが、2017年のゴホンヅノカブトの話はこれだけでは終わらなかったんですね・・・




↓↓↓ 次回 ↓↓↓




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キュンキュンするクワガタ・・・?

『オオクワガタ以外はクワガタに非ず』

20年くらい前はこんな考えの人も多かったのではないでしょうか・・・?

1999年に正式に外国産クワガタの輸入が解禁されてもうそろそろ20年になろうとしています。在来の国産種は勿論、巨大なオオヒラタやギラファノコギリ、カラフルなニジイロやオウゴンオニ、果てはオオツヤやホソアカにも見慣れている飼育者は珍しくないでしょう。
一口にクワガタと言ってもその姿は多種多様で、世界各国から色々な種類のクワガタが輸入され、クワガタの飼育種の幅も昔と比べ大きく広がっているのは今更確認するまでもない事実です。
勿論、生体の飼育だけでなく標本の収集もしている人も大勢いるワケで、そうした人は飼育のみ行っている人より格段に多くの種類のクワガタを見ていると思います。

さて自分はと言うと、標本を集めているワケではないので見慣れているクワガタもいれば見慣れていないクワガタもいて、もっと言うと見慣れてもいないし見た事も無いクワガタの種類の方が多いです。

今回は、そんな「見慣れていないクワガタ」の中でもかなりドギツイ奴の記事です。




11月下旬、ある荷物が届きました。


CA3I1012.JPG

「見慣れていない」・・・つまる話が外国産のクワガタなワケですが、今回は輸送時期がなかなかにシビアでした。
特殊な温度帯の種類で、青森のこの時期の天候は非常に不安定。1日~2日だけ輸送に問題なさそうな日があったのが幸運でした。店によっては梱包の提案を素直に聞いてくれないところもありますが、入念に電話で打ち合わせまでしてもらい、虫はきちんと青森まで生きたまま到着してくれました。









フェイスタメルシワバネクワガタ.JPG
フェイスタメルシワバネ ペルー ワヌコ


アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、アフリカのクワガタは飼育経験はありますが、新大陸のクワガタは今回初めて飼育します。
標本では見た事がありましたが、手のひらの上で生きて動いているのを見ると流石に感動します。

フェイスタメルはシワバネ属最大種で、アンデス山脈に沿って南米大陸の北部から中部にかけて分布していて中でもペルー産は大型化するってことで別亜種扱い(別種扱い?)にするところもあるみたいですがどうなんでしょうかね?

そんなフェイスタメルも、近年は晩秋頃のシーズンに一定数の生体が輸入されるようになってきて、累代に挑戦し一喜一憂する様子がネットでチラホラ散見できる時代になってきました。
南米産クワガタは他地域産クワガタと比べて知名度が非常に低い(と思う)のですが、フェイスタメルは何やら昔ム〇キングで有名になり一部の層からも認知度を上げたそうで(俺はよく知らんけど)同じ南米産のアレに次いで南米産では第2位くらいの有名種と言ってもおかしくはないようです。
残念ながら、南米産知名度1位のアレは4年前(だっけ)に主要産地国で輸出規制が施される事になるというニュースと共に輸入の目処が立たなくなり、「いつかは私もアレを・・・」と夢見ていた変態勇敢な飼育者層も見た目が近いフェイスタメルへ流れ込んだ・・・と云う風にも自分は思っているんですがね。何を隠そう自分もその一人でしたから・・・「フェイスタメルなんて中途半端な珍種で自分を慰める気はねェ!! 俺はアレをやりたいんだ!! アレ一本で挑みたいんだ!!」
・・・(なんのこっちゃ・・・)

南米産という事で、現地の発生時期では普通種と言っても金額は決して安くはなく・・・
ペルーだからと言っても飛んでいったのはコンドルではなく諭吉さんでした。



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飛んでいったのが何かは置いておいて、一々目が釘付けになる見た目です。

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横から見てもクワガタらしいコンパクトさは皆無。
蛹の形を見てみたいですね。

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いや~もう全部ヤバい(笑) 北欧神話とかに出てきそう。
白い毛に覆われた頭部に金属のような複眼。
シワシワの前胸背板は油膜が張ったような色。

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頭部のアップ。虫を知らない人が見たら「これが神戸港で見つかった奴です」と言われても信じてしまうくらい見た目がアウトですね。

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シワバネの名前通り上翅にはキレイに皺がついています。
先端部のシルエットも変わっていますな。洗練されきってない感じ。

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裏返すと真っ白でモッフモフです。突然頭上にこんなのが落ちてきたら大概の人は悲鳴あげて走って逃げるんじゃないでしょうか・・・


そして♂だけではなく♀も同じように他国感にあふれています。
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幅広くなった前脛節、大して木も齧れなさそうな大腮、見るからにマット産みと云う風貌。大腮は閉じるとシャベルのようにヘラ状になっていて、なんだか土を掘るのに使えそうな形状ですねェ。鋸歯もなんか根切りっぽい感じに見えるのは気のせいでしょうか。


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さて、無事到着した生体ですが
元々虚弱体質で気圧も低い高地に生息している虫なので即日セットへ移行します。到着の前にセットを仕込んでおけばなお良かったんですがね。
現地のシーズンには大量に発生するという事も、明らかに寿命が短い証拠。

♀はフ節が1本麻痺しているので交尾もまず済んでいるだろうと見てペアリングは無し、到着時からあまり変わらずヨタヨタした感じなのでマットに潜る脚力があるのか非常に心許ないです。動く本種を見るのが初めてとは言え、これは少なくとも発生初期の活きがいい状態ではありません。
一応セットを作るまでの間、♂と♀の様子を見ていたのですが、♂はゼリーにむしゃぶりついたのに対し♀はゼリーに興味を示さずカップ内をぐるぐる・・・
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フタの縁をグリグリする様子が見られたので、そこそこ力は残っているんだろうと少しだけ安心しました。


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マット産みという事で、早速マットを仕込みます。

マットの選定が下手クソな自分にとっては非常に悩ましい時間です。
ネットでヒントを拾いながら、コバシャの中ケースに1~2種類のマットを混合したりミキサーで微粒子化して3層構造にします。
そして同時に、ケースに詰めるマットをちょっと細工して酸性寄り・アルカリ性寄りとpH環境を左右で分けてみました。
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3層&pH分けのセットは、虫側の選択肢が増えたようで一見して良さげに見えますが、中ケースと云うやや狭い容積では虫側の認識の問題中和の危険性もあるので、
産卵の確率が上がるかと言われるとそうとも思えないし、時間の経過で環境が変わる可能性があると卵や初令の死亡率にも影響してきますから・・・やっぱり良策とは言えそうにありません。

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念のために誘導坑を左右に開けておいたんですが、ヨタヨタ歩きの♀には合わなかったようで落とし穴みたいにボトッと落ちてしまいました。・・・大丈夫か・・・!?

ゼリーと水苔を散らして、17℃設定にした冷やし虫家へ。
初日~2日目くらいは地上でウロウロしていたようですが、以降は姿が外からは見えなくなったので潜ったのかもしれません。
・・・そのままケースに触らずにいるので、実はひっそり水苔の下で死んでいるかも知れん・・・




このカテゴリが、1回きりのただのフェイスタメル写真集に終わらない事を願いたい・・・!!



〉〉 あ、そうそう写真と言えば・・・


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シーズンオフの八戸で [青森では・・・]

どうもこんばんは、まだ生きてます。
1ヶ月ぶりの更新になりましたが、なかなか腰を据えてブログを書く時間もありませんでした。
11月になって飼育の方に完全シフトチェンジしたと云うワケでもなく、とあるワケあって採集へも行っていました。


さて先日25日(土)、年末の恒例となりつつある虫屋の納会へ行ってきました。

夏の間に採集のフィールドで知り合った同士、地元の昆虫専門店で知り合った人達が普段と違う場所で一堂に集まる年に一度のイベント。
都会と違って即売会等のイベントが無い分、青森で開かれる貴重な会として存分に楽しんできました。

今回はその内容を簡単にまとめた記事です。


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納会当日、お昼の12時前に青森市内を出発。ファーブルハウスの鈴木さんの車にNo.7と共に同乗し会場のある街へ向かいます。

青森市内も雪景色になり、道中ホワイトアウトしうっかり道が逸れるくらいでしたが、現地に近づくにつれ段々雪が無くなってきました。



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到着したのは八戸市。今年の会場はこの街です。


昼過ぎに到着したのですが、まずは腹ごしらえでラーメン屋へ。
八戸市在住のN氏Y氏と合流し、虫の話を緩やかに交わしながらラーメンをすすります。
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写真OKという事なので載っけてみました。ラーメン屋で食べるのも久しぶりで、「あぁ、なんかこの感覚・・・久し振りだなぁ・・・」と仲間同士でテーブルを囲むだけなのに変な新鮮味まで味わってしまいました。最近ずっと一人でいたからなぁ・・・(苦笑)


腹ごしらえが済み、予定されていたN氏の自宅へ皆で向かいます。

N氏は採集もしていますが飼育にも力を入れているマルチな方で、「飼育専用に造った部屋」を見せてもらうために今回お邪魔したと云うワケです。
オオクワ1種のみに特化した飼育部屋でしかも温度・湿度・空調の精密な管理が行われていて、N氏の説明に感動と関心が尽きませんでした。ここまで部屋として徹底されているのは初めて見ました、棚の段の間隔が均等に1400ccボトルに合わせてあるのがオオクワブリーダーって感じで感動しましたけど(変かな?)


飼育部屋見学を終えたところでN氏とY氏と一旦別れ、鈴木さんとNo.7と3人で八食センターの市場へ向かい土産探し。
海産物に全くと言っていいほど関心が無い自分とNo.7は結局何も買わずに終わりました(が、青森市に帰ってきてから「やっぱり買っときゃよかった」と後悔しました)


午後4時を過ぎ、ひとまず宿泊するホテルに向かいます。
我々と、もう一人今年初参加の弘前のN氏を含めた津軽方面組の計4人でこのホテルに合流、一休みして間もなく納会の開始時刻の夜7時を迎えました。



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一次会のお店に今回集まれたのは11人、いずれもライトトラップの経験者やオオクワブリーダーなど、いろんな意味(?)でひと癖もふた癖もあるような人達です。


そして今回は、ただ飲んで食べてお喋りするだけの会ではありません。

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集まった人のほとんどが採集の有識者という事で、採集に関係する講義が行われました。
最初は八戸のM氏による発電機のメンテナンスについての解説。手入れが大事な発電機の各注意点やアドバイスは機械音痴の自分にとってはとても参考になりました。
次にFH鈴木さんによる十和田の各採集ポイントの注意点や機材の選び方の説明、そして各ポイントの位置関係や機材の使い方による影響の解説。下手な所で教えられない「ここだからこそ」話せる青森県の深~・・・い裏ワザ解説も濃厚に詰め込まれていましたヒヒヒ・・・
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今回の納会参加者にはこうした資料も配られました。
こうして十和田のライトトラップについて具体的なポイントを解説する文書は未だかつて無かったでしょう(そもそも公に書いたらもったいない事だしね)


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そして一次会の終了時刻も迫ってきたところでプレゼント争奪のくじ引きが開始。
引いたくじに書かれた番号の順にプレゼントを選んでいきます。
(プレゼント争奪ゲームを何にするかは自分が考えることになったのですが、当初はビンゴゲームにすべきか、はたまたポイント制クイズ形式にでもしようかと悩みましたが、用意時間が無かったのと効率や流れを考えくじ引きに落ち着きました。下手に時間を取って長引かせるよりテンポよくサラッと進めるくじ引きにして正解だったようです)

プレゼントは数人の方から以下の物を用意してもらいました。

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酢酸エチル携帯用スポイト付き小瓶
今回プレゼント企画を立てるきっかけになった賞品。採集か飼育は行う人がほとんどながら、標本をやっている人の割合が少ないという事で、昆虫趣味の視野を広げるという意味を含めて鈴木さんとNo.7が提供。末等扱いですが、実は1個あたり700円くらいと絶妙に安くはない賞品です。

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エンジンオイル交換セット
発電機のメンテナンス講義を行ってくれた八戸のM氏に提供してもらった賞品。エンジンオイル1リットルと廃オイル処理用パックのセットです。おまけのお菓子がちょっと主張が強いです(笑)

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中之島産トカラノコギリ成虫ペア
Y氏に提供してもらった賞品。トカラノコの生体なら全国に大量に出回っていますが、今回Y氏が持ってきたこの生体は、そんじょそこらでは手に入れることはできない「特別で貴重な」個体。色もきれいに出ていてうっとりする個体です、ちなみにホワイトアイっぽく写ってますが違います。

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特製クワテラリウム
これが今回のプレゼントの中で最も豪華な賞品。おいらせ町のT氏に提供してもらったもので、採れたオオクワを入れたところを想像せずにはいられないですね。昆虫フィールドの写真でしか見た事が無かったのですが思っていたより清潔感があるんですね・・・。「青森県産」のプレートにドキドキします。

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A4サイズ2018年カレンダー
こんなの誰が持ってきたのか(笑)、と云うと・・・自分です。青森県に分布するクワガタムシ科がちょうど月めくりカレンダーと同じ12種類なので、各月に1種ずつ写真と青森版の簡易解説をレイアウトし、採集に使われるであろう主要山岳道路の冬季閉鎖スケジュールと、ライトトラップシーズン用の月齢と月の出入り南中のタイムテーブルを組み込んで、採集向けに作った物です。この写真を撮るために今月までずっと採集に行ってたんですよ。ちなみにこのカレンダーの完成に間に合わせるために、前日の晩を貫徹していたので、肝心の納会中は頭がほとんど働きませんでした(笑)

そしてくじ引きとは別に、自分はY氏から別の生体のプレゼントも貰いました。
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リュウキュウノコギリ(久米島亜種) 島尻郡 久米島町 だるま山

2年前のトカラノコギリに続いてクメジマノコギリの幼虫も頂いてしまいました。
初飼育になるので、これもブログで飼育経過を書いていこうと思います。


一次会が終わったところで残念ながら翌日の都合で参加者の一人・NZ氏とはお別れし、別のお店で二次会となりました。
CA3I1042.JPG
席も一層近くなり、話は尽きるどころかさらに深みを帯びて加速していきます。各人の今年の採集のエピソードを聞きながら、この一年色々な事があったんだな~とあの日やその日の事を思い出します。

八戸のM氏の知り合いでもあるというこの店の店主もライトトラップをやっているという事で、店の入り口にちゃっかりライトトラップの張り紙もしていました。


二次会が終わったところで人数もさらに半分に減り、今度は参加者の一人のS氏のお店へ流れ込み三次会が始まりました。
店に虫を持ってきていいのか?とも思いましたが、流石S氏のお店と云う事もあって従業員も皆訳知り顔でした(笑) 肝心のS氏はと云うと完全に店側のスイッチが入ってしまい奥へ引っ込んでしまいました(苦笑)

時刻も午前0時をとうに過ぎ、頭の回転もほとんど止まってきました。三次会も終わり納会も終了、ホテルへ帰った後は電池が切れるようにして42時間ぶりの眠りについたのです。



ちなみにその後、体内時計が大きく狂ったのは言うまでもありません。
この記事もまた、夜を徹して書いたものですから・・・




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大間町ヒメオオクワガタ採集 ‐本州最北端攻略への道‐ [日昆 採集記 【2017年】]

ヤナギを見かけると興奮します。 こんばんは、会長です。

今期はライトトラップを9月の半ばまでやり続けた事もあり、
ヒメオオ狩りの期間が例年より短くなってしまった所為であまり行っていませんでした。
その代わりに、ヒメオオ採集には欠かせない「林道の把握調査作業」だけはその間に進めていました。採集したヒメオオ残しておくにあたって、局所的な生息地を特定・区別しておくことは大切(人によって程度は違いますが)ですが、その場所毎の極々狭い限定的なラベルを把握するのは難しいです。具体的には林道名国有林名です。
図書館で参考になる資料が見つかり、それを基に自分のマップル道路地図に追加記入していくのですがちょっと気が遠くなってしまうくらい情報が載っていました。
一応自分も県内各地へそこそこ数は行っていたと自負していましたが、やはり青森は広かったです。今まで事ある毎に林道名など記入してきていましたがその何倍、十何倍?も書き込む量があり、多くてまだ全部書き込み終えていないのですが、色々書き込みすぎて他の人に見せるのが惜しいモノになってしまいました。


今回の採集も、そんな「新しく書き込んだ道」へ挑戦した中の一つです。


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  10月1日

10月に入ったばかりですが、9月中も多産するポイントへ行っていないせいか、妙に今年のヒメオオ発生数が少なく感じていました。
今年はアカアシの数が異常に少ないので、その分ヒメオオが優勢かとも考えられそうな気にも一瞬なったんですが、多分そんな事は無いでしょう・・・
きっと、いつも狙っている稀少ポイントも例年に増して少ない可能性があるので8月中からヒメオオに向かうべきだったとも思いましたが、過ぎた事はしょうがないと開き直り、新規ラベルの選定もいつもと変わらず「ここで採れたらいいな」という願望で決めました。

この日ヒメオオを採りに行こうと決めていたのが、

青森県最北、つまり本州最北大間町と、
去年10月に初挑戦し見事玉砕してきた佐井村の2町村。

ヒメオオどころか昆虫全般でも話題にのぼらないこの地域をターゲットにしたのです。


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佐井村は前回概略を書いたので今回は大間町の紹介です。

ヒメオオ図1.png

大間町は青森県下北郡に属する町で、下北半島の北端部に位置している。
町の北部には平野があるが、南化するにしたがって険しい山岳地帯になり、最高峰は大滝山(▲563m)
居住地は専ら海岸沿いに集中しており、その中心は町の北端部周辺。人口は5500人弱。
中心産業は漁業で、海藻類や貝類が中心的だが最も有名なのは近海で獲れるクロマグロである。初競りで高値が付く青森県産本マグロもこの町の物であり、大間崎の辺りに一本釣りのモニュメントがあるなど、マグロは町の代名詞となっている。ちなみに、漁獲量自体は大変少なく県産マグロで最も漁獲量が多いのは深浦町である。
また、地理的特性上北海道との結び付きも深く函館とフェリーが通っており、買い物やその他所用には陸続きのむつ市・青森市・八戸市より函館市が利用されることも多い。
この他、大間原発の誘致・建設を巡り、用地買収・東日本大震災による工事の中断・対岸の函館市からの反発訴訟問題が話題になった事も記憶に新しい。

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去年の佐井村に引き続き、今回の大間町もの採集入りです。
そして佐井も含めた遠い北の果て2町村を攻めるという事で、朝暗い内から家を出ようと計画していたのですが、
朝5:00の目覚まし時計のアラームを無意識のうちに完膚なきまでに叩き黙らせたおかげで目覚めた時には朝7:00現地到着まで3時間かかる計算だ・・・となればおそらく、大間を探索した後に佐井まで行ってる時間は無い。

半絶望的に起きて30分で支度。
7:30に家を出ました。


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下北半島と亀田半島.JPG
せめてもの救いか天気は良いです。
写真は道中の桑畑パーキングエリアで採った1枚。左手の陸地は風間浦右手奥に見える陸地は函館です。


大間町に到着しましたが、時刻は10:30。時間も無いので写真や食料補給もせず即行で目星を付けていた林道へ入ります。


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大間町自体、林道はあまり開かれてはいなくて、近隣の佐井村・風間浦村と比べても本数はかなり少ないです。こうしてブログにヒメオオ採集記事として具体的に市町村名を書いてしまうと、かなり核心的なヒントを公開するのと同じ感じになってしまうのですが、今回はアクセス上の難度(面倒臭さ)に加えて、クワガタ自体の報告もされないようなマイナー市町村の貴重な報告内容かつ地理的に特筆すべき地域という事を加味して書くことにしています。

それに、この記事の内容を最後まで読んでもらえば、安易にヒメオオ採集へ行くにはあんまり魅力的な土地じゃないと云うのが解かるでしょう。



ヒメオオ採集のポイント選定の目安として、ブナの存在は重要です。
完全にブナに依存しているワケではありませんが、ヒメオオを探しに行くときにはブナ林・・・できればブナの原生林があるかどうかは特に注目するかと思います。
ブナの性質上、海岸付近や平地・乾燥地は生育が非常に難しく、冷涼で湿潤な環境を好むのでそれなりに内陸で標高が高く深い山でないとヒメオオが利用できるほどの大木に成長できません。

こうなると良好なブナの生息地=ヒメオオの採集候補地も絞られてくるのですが、
ここで下北半島の植生の落とし穴があるのです。

まず前提として「青森県は全域的にヒメオオが沢山採れる」と云うワケではありません。
八甲田山~十和田湖周辺が突出して報告が多く、ブナの原生林が広がる高標高地ヒメオオが人の目で観察できやすい環境が重なり整っているのはこの山地帯しかないワケです。
白神山地も、同じようにブナの原生林が広く残り高標高ではありますが、程よくアクセスしやすくヒメオオが見つけやすい環境が出来上がっている八甲田側と違い、逆に山が険しすぎてコンスタントにヒメオオを見つける事はできません。

反対に、山が低くてもヒメオオ採集には厳しく、青森のような北国では低標高でもブナは生育できるのですが標高が低すぎると山林開発がされやすく、伐採されスギ林にされてしまうので低山地はヒメオオ生息には適さない場所が多いのです。

下北の話に戻すと、
下北半島は高い標高の場所が無く、最高でも876m(むつ市)しかなく、植生限界もその分低い地点でやってくるわけです。低山地では勿論伐採と植林が行われていて、人口が少ない地域ながらもこの地域は津軽半島と並んで昔から特に盛んです。

その理由は何かというと・・・
HIGH VOLTAGE 2でも触れられていますが、ヒバの大産出地だからです。

ヒバの分布.jpg
※ヒバは青森での呼称で、アスナロと変種ヒノキアスナロの2つをまとめて青森ヒバなどとも呼んだりしてややこしくなるので、ここでは単にヒバと紹介しておきます。

この図中で示したのがヒバの分布地で、下北半島はかなりヒバが豊富なのがわかります。
(ちなみに、塗りつぶしている場所が純林になっているわけではなく、あくまで生えている範囲を示しているだけで混生林が大多数です)
下北半島でも中~西部にかけてヒバが多くなり、低山地にはスギの植林が広がり、他の広葉樹とのバランスも見るとこの地域はだいぶヒメオオの生息が厳しいのがお分かり頂けるでしょう。
そして付け加えて、大間町は山岳地帯の中心部から外れたような北の隅っこにあるわけですから、殊更ヒメオオに適した生息環境としては貧相なワケです。


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CA3I0879.JPG
入り口を地図とGPSで確認し、林道に突入します。
始まりはいつも陰鬱なスギ林です。この奥へ進んで、このままスギ林が変わらないまま突き当たるか、段々廃道化していくのか、崩落して進めなくなってしまうのか、ヒメオオが生息する環境に変貌するかは行ってみないと判りません。


CA3I0882.JPG
スギの植林帯も薄くなり、広葉樹も見られるようになりましたがまだ湿性の環境は変わりません。当地のヒメオオの好む環境はどちらかと云うと乾きめのフィールドなので、まだこれではヒメオオに期待できません。
せめて、沢沿いを外れてくれれば・・・


CA3I0883.JPG
緩い上りを続けること暫くすると、漸く路面のしっとりも抜けはじめ爽やかな雰囲気に変わりつつあります。予想ではこのまま行けば・・・


CA3I0884.JPG
よし来た!こういうロケーションを待っていました。
標高はほぼ400m。下北なら余裕でヒメオオが生息している標高です。

ここまで来ると一般の道路地図では道路表記がありません。
林道が左へ分岐しているので、雰囲気も良さげなのでそっちへ進んでみました。

成虫の生息環境に見事当てはまり、ヤナギとケヤマハンノキも生えていて下草もそれほどありません。
しかし残念ながら、成虫の姿はありませんでした。よく見ると何本か噛み痕が付いていたのですが、・・・全部古いヤツだな・・・

林道の奥まで進んでいきましたが、
次第に草木が路面に茂ってきて自然回帰の様相があったので偵察終了。
藪の中からヤマドリやキジバトが突然大きな音を立てて飛び上がる音は何度聴いても心臓に悪いです。


CA3I0890.JPG
分岐から本線へ戻り、さらに林道をユルユル進んでいきます。
道端に生える木々の種類を確認しながらあるカーブを曲がった時でした。

通り過ぎた間際の灌木に不自然な異物が居るように見え二度見。
車をバックさせもう一度確認します。度々見かける異物も、大体は黒く枯れた葉が引っかかっていたり節だったりしますが・・・






い・・・いた! 居た! 居た居た!!!!!

クリックして画像を拡大する
Q.どこに居るでしょうか?
※画像をクリックすると別ウィンドウで拡大できます。











CA3I0888.JPG
見つかったのは1頭ぽっきり
付いている樹もヤナギではなかったのでちょっと油断して流してみていたので危なく見逃すところでした。葉の形を見るとマンサクっぽいのですが、樹皮がなんか違うような・・・

藪をこいで撮影(付いているのは根元から2.2~2.5mの高さ)後、網を入れて取り込もうとしましたがササに引っかかりなかなか網を差し入れられません(焦)
結局、網をきちんと構える前に木に触れてしまい落下!!

目で追ったものの把握できず(汗)、落ち葉が動くのを探して待つこと1分ほど、靴裏からモゾモゾ枯れ葉が動きました。
自分で踏んでいました(苦笑)、危うく貴重な大間産を採り逃すところでした。



CA3I0889.JPG
本邦初公開(笑) 下北郡大間町産ヒメオオクワガタ!!
当たり前ですが本州北端部の個体だからと言って形も大きさも特筆すべきものは無く48mmの普通サイズです。
ここで採れたと・・・云う達成感はとても普通なんて表現は使えませんけども。

周囲を見てもどの木にも齧り痕らしきものは全く無く、偶然付いていただけなのでしょうか。


以て瞑すべしと云うところですが、林道はまだまだこの先良い感じなので引き続きルッキングを続けます。
完抜林道なのでこのまま突っ切ります。
CA3I0893.JPG
小さい写真で判り辛いですが、決して良好な植生とは言えません。
スギヒバ・そしてマツと、針葉樹の豪華三種盛り状態です。その中に、肩身を狭そうにして広葉樹が生えているのが辛うじて確認できます。これでも大間町では最奥部なんですけどね。


そのまま良さげな環境が続きますが、決定的に「おっ、イイ!」と云う場所がありません。
似たような景色を暫く徐行して数十分・・・
CA3I0894.JPG
おっ!? イイかも・・・?
つい足を止めてしまいたくなる一角を発見しました。
林道の右脇には手ごろなヤナギが4本キレイに並んでいます。このヤナギ、怪しすぎます。例えるなら、道路脇に並ぶ自動販売機ぐらいあまりにキレイに並んでいます。
下草も茂ってなくて、これまでにない優良物件です。


車を降りて早速枝を確認してみると、
逆光で見えにくいですが再びヒメオオの姿を発見!

CA3I0895.JPG
↑↑全然虫が撮れてない(恥)
枝の下に構えた網でカツンカツンと揺さぶると直ぐにポロッと落ちてきました。
枝も少なくて入り組んでもいないので網は入れやすいし、仮に落ちても地面がめちゃ見やすいので見逃す危険もほぼありません。楽や・・・楽すぎる・・・!


CA3I0896.JPG
結果、4本のヤナギの内3本にそれぞれ1頭ずつ付いておりその全てを網に収めることが出来ました。全て♂でしたが、樹にも噛み痕はあまり沢山は付いているワケでもなく、個体数自体もそんなに多くなさそうに見受けられます。


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3頭追加した後も道は長く続き、
足場の悪い汚いヌタ場や倒木で封鎖されかけた場所(ビニールテープが両側に張られ木はギリギリ軽自動車が通れるよう伐られていた)を抜け、次第に標高も下がり林道はまた平地の植生に戻り始めました。この間も絶えず樹木をチェックしヒメオオの姿を追い続けましたが、痕跡すら見つかりませんでした。

途中、もう1ヶ所支線があったのですが、途中で進めなくなり徒歩でも進みましたがやはり徒労に終わりました。

林道も抜け、霊芝農家と思しき畑に山積みされているめちゃ見覚えのある廃材を物欲しそうに見つめながら町中心部へ。青森県に霊芝農家があるのを今更ながら知りました。
メーターを確認してみると、林道の距離は支線2ヶ所(いずれも途中まで)を含めて約30km
片道でこれだけ長い林道は下北でも多くはないでしょう。
北の端の長距離林道という事で、林道ドライブ独り占め状態かと当初思っていましたが、2~3台すれ違ったことから見てもそんなに地元の生活から乖離した場所ってワケでもなさそうです。すれ違うの疲れるけど・・・
やはり想定通り時間は無くなってしまったので、佐井村のリベンジは次回に持ち越しです。


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この後、地元のスーパーで今日初めての食事を買って腹を満たしたのが夕方4:30頃
記念に大間崎のマグロ一本釣り像でも撮ろうかと思ったのですが、夕方にもかかわらずまあまあ観光客が居て憚られるので、素通りして帰路に就きました。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


大間町産ヒメオオクワガタ.JPG
今回採集出来たヒメオオクワガタは、最小が40mm最大は51mmでした。
生息環境の分水嶺の付近ながら、50mm台が2頭も採れたのは意外でした、もっとこう・・・ギリギリっぽさを感じる個体ばかりかと思っていたのですが(それ以前に生息してるのか疑念がありましたが)
そのギリギリっぽいと思ってたサイズ=40mmの♂も、ふと別な事を考えてしまい見入ってしまいます。・・・近似のヤエヤマコクワもこんなにデカくなるんだ・・・と考えると、たがかリュウキュウコクワと思えなくなりますね(ヒメオオ関係ねェ)


大間町初の昆虫採集は、こうして無事に終えることが出来ました。



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青森県採集案内 後日談 ~オオクワリベンジ~ [日昆 採集記 【2017年】]

2016年・・・2017年と2年続けて県外の方を採集に案内したところ、見事なまでに雨に見舞われ壮絶に散った事は前回記事に書いた通り。

大切なお客さんとして目的の虫を見せる為に案内したワケだが、今回2人からは土産まで貰ってしまっている。
別に土産を貰ったから、と云うワケではないが、即物的な物がこちらからは提供することが出来ていないのがずっと自分の中で引っかかっていた。

「物」を得るよりも「体験した事=思い出」こそが大事、とYH・MU両氏からは言われたが・・・


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  8月21日(月)

この日の夕方、自分は急いで十和田に向かっていた。

月曜日のアフターファイブにわざわざ十和田へ急ぐ理由・・・
それは他でもなくオオクワガタの2次発生が始まったからである。

その始まりは3日前の18日に遡る。
18日と云えば、ちょうどMU氏が東京へ帰ったその日である。前日17日まではずっと雨で、この日ようやくライトトラップができる天候になったのでNo.7ポイントZへ向かったところ先行者がライトを焚いていたという。別のポイントに変えようと一旦そのライトの前を通過したところ遮光をしなかったので注意喚起をしてその後ポイントYへ移動しライトを展開。 1♀採ったものの、その後何故かポイントZの方向から明かりが干渉してきたので再び注意に行ったらしいのだが、また遮光しないし干渉の指摘をすると他人の名前を出して言い訳してくるなど面倒な言い合いになったのだそう。ちなみにこの人、専門誌の採集記にゲストで載った事があるような方だという。そしてその後影響のない方向へ光軸を変えてもらった途端にその人は連続で多数のオオクワを採ったらしい・・・その中には大台の70オーバーも含まれていたのだとか・・・

しかもその後にNo.7が場所の空いたZで取りこぼしを1♀採集出来てしまったという。

お盆中連日雨で虫が溜まっていたのが、天候の回復と共に一斉に騒ぎ出したと県内の採集者達は一斉に察知、一日二日でにわかに夜の十和田に活気が戻ってきた。


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オオクワの2次発生が始まり、平日にもかかわらず大急ぎで十和田にやってくるという事は自分はこれまで無かった。


この時何を考えているかはもうお分かり頂けるだろう。
そう、青森産WILDのオオクワガタをプレゼントしようと云うワケだ。
MU氏には勿論だが、どうせなら去年のYH氏にも差し上げたい。

・・・と、そんな話を前週の土曜日19日にNo.7に話したところ、オオクワの♀を譲ってくれた。
あげるのにちょうどイイのが1匹いたとの事。MU氏を2日目に案内したポイントZで、18日に採った個体。前述した例の取りこぼしの奴である。
快くNo.7が譲ってくれたのも、MU氏からのお土産を受け取っていた点もあったからなのかもしれない。


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十和田に突入し、奥入瀬の採集エリアに入ったが時すでに遅し、
ライトトラップの主要ポイントはすでに場所が埋まっていた。
やはり2次発生の兆しが見え尚且つ天候条件も良好では場所取りも甘くない。
できれば、プレゼントする個体は案内時と同じ場所で採れたものが欲しいと思ったのだが、MU氏と共に採集したYZのポイントは両方埋まってしまっている・・・
仕方ないのでこちらは諦め、YH氏を連れて行ったポイントへ転向。

即座にそのポイントへ向かった。


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眼前のポイントを恨めしく見つめ車を停める。


・・・鎖がポイント入口に張ってある。入れない。
発電機を持っていくには時間的・体力的な問題がある。

無理も出来ないので、迷ったが仕方なくこのポイントを放棄。
難易度が高い草むらでのライトトラップの練習にもなればと思ったのに。


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この調子だとほとんどのポイントは埋まっているだろう、マイナーなポイントなら空いているだろうが時間はもう19時を過ぎているのでそんなところまで行ってたら良い時間帯を逃すことになる。

その中で、まだチャンスがあるかも知れないポイントが1ヶ所脳裏に浮かんだ。
19日、Zの♀を貰った日に複数名で合同採集をした際、苦し紛れにNo.7が入った新ポイントだ。
この日は十和田市外でライトトラップをしていたが全く振るわず、途中で心折れて十和田へ戻りライトトラップを再開した時に鈴木さんから聞いていた「ライトがかけられそうな場所」としてNo.7へ進言したのだったが、結果はまともにクワガタは飛んで来ず終了。

そのポイントを仮にαとする。
ここ自体それまで誰も入った事が無い場所で、恐らくその日No.7が焚いたのが初夜だったと思われる。
勧めたNo.7を轟沈させておきながら、自分はそこでやった事が無いというのは無責任極まりないので、自分もそこでやっておかなければとも思っていたところだ、ちょうどいい。ポイントの位置的にもほとんど離れていないのでYH氏への土産と云う点でも問題ないだろう。


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ポイントαに到着した。

現場は思ったより足場が汚い場所で、車から降りて0秒で足が茶色くなってしまった。
20m先のライト設置適所と思われる広場を見てみると・・・・・・
発電機を持って行けるような場所じゃないな。持って行けないと言うより、持っていきたくない・・・
HIDハンディライトを置くことにした。

多分こっちに向ければ正解だろうという方向にライトを向けて点灯。時刻はもう19時半である。





不安と期待を半々に抱いたまま10分が経過した。



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