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2011→2018 [日昆 採集記 【2018年】]

山遊びに精通している人や長年採集を続けている人の中には、『自分しか知らない遊び場所・採集場所』を持っている人も多いのではないでしょうか。
かく言う自分もそんな場所をいくつか持っている者の一人(だと思っているの)ですが、今回はその『自分しか知らない(と思われる)』場所での採集の話をサクッと書いてみます。


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 9月29日

節は秋真っ只中です。
この時期は専らヒメオオの新ポイントを探して県内各地を東奔西走しているのですが、このところ天候不順で新規開拓に文字通り暗雲が広がっていた中、この日はいつもの新規開拓は休んで勝手知ったるマイポイントへ向かいました。


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日~一昨日まで雨空だったのと、翌日も風と雨が強まる予報でヒメオオ採集に適しているのはこの日のみ。
こういう日は無理に冒険するよりも、安定したポイントの方が効率的だと云う点もありますが、たまにはサイズ狙いでヒメオオを採集するのも気分転換になるかなと思ったのが今回の動機です。自分は基本的にクワガタを採りに行く時は[サイズ < 産地]なのですが、ふと「マイポイントを持っててBIGサイズも好きなだけ採れるはずなのに放っておくのももったいないかな?」と思ったり。
一応、1~2年に1回は様子を見に来るんですが、最盛期は新ポイントを探すことを優先しているのでここへ来るのはシーズン初めかシーズン終わり間際。9月後半に来るのは久しぶりです。


CA3I0658.JPG
ここ最近では貴重な晴れ間、現地へ到着しましたが風も無くヒメオオ日和でしょう。




ポイントに到着し、装備を整えて採集開始します。
誰かにバレて採られてやしないかと不安を感じながらルッキングしていくと、

CA3I0659.JPG
早速この日最初のヒメオオを発見できました赤枠内)

とは言えちょっと想定より奥へ進んでからの発見だったので、他の採集者が入っている不安がこの時点ではまだ拭えていなかったのですが、ここからこのポイントの本領が発揮され、

CA3I0660.JPG
CA3I0665.JPG
大小様々に多数の個体が次々見つかり赤枠内)、ポイントはバレていないんだと判断するに至りました(途中でキノコ採りは入って来ましたが・・・)

最初は律儀に採った個体をケースに収めていましたが、まだ違うポイントへも行く予定である手前、このままでは時間が無くなってしまうので網の中に放りっぱなしで先へ進みはじめます。


個体数が多いポイントでの午前中という事もあって、樹を登る個体も複数観察できました。
CA3I0661.JPG
体表に光る水滴を見ると、今日はこれでも活動は本調子じゃないのでは? 雨が数日降ってなければもっと居たのでは? とも思ってしまいます。

また、意外と見る機会が無い珍しい光景も見ることが出来ました。
CA3I0663.JPG
樹を齧り始めたばかりの♂個体。これから樹液を出そうとしている場面は本やインターネットでも記録が見つかりません。それにしても一体どういう判断基準でそこを齧り始めるんでしょうね。ちなみに樹種はサワグルミ。


ネットに入れたままのヒメオオがちょっと多くなってしまい使用がめんどくさくなってきたのでキッキングも始めましたが、やはり一人だとこれをやるのは危険ですね・・・、毎回大きい♂が付いている高いヤナギが在るんですが(そしていつもここで採り損ねているんですが)、笹に囲まれたこの樹を蹴って頭上に落下してきた個体を反射的に避けてしまい、その結果見失ってしまいました(悔) 一瞬見えたあのサイズは只者ではなかったな・・・たとえ額に大腮が突き刺さろうとも避けるべきではなかったな・・・

そんな感じで、最終的に個体全体の内2~3割をロストしてしまいました。


ポイント終点まで来た時点で一旦網の中を見てみるとこんな感じになってました。

CA3I0666.JPG
あぁ・・・こういうの久しぶりだわ♪♪

他の人の話を見聞きすると、今年はヒメオオが少なくあまり沢山は採れていないと云う話が多かったので心配していましたが、この場所はその心配はあまり無さそうです。


帰り道も少々の追加があり、カウントした結果38頭となりました。
ミスって落としてしまった個体も含めると推定で今日は50頭程度が居たと思われます。
何年も前に来た時は50~60頭採れていて、今はもうすっかり減っちゃったかなと来る前は心配していましたが、あまり変化は無さそうでホッとしました。
それでも、一部の樹が倒れたり弱っていたりしているので、どこかのタイミングで個体数に影響が及んでしまう可能性を考えると来年も見に来るべきかもしれません。

採れた内での最大♂は残念ながら52mm止まりで、目的の特大個体は得られなかったので全リリースして車へ戻りました。


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つ目のポイントを離れ続いては2つ目のポイントへ到着。

ここも、齧り痕だらけで勿論他人に知られていない第1級ヒメオオ産地だったのですが、ポイントを発見した翌年に重機が入り環境が変わってしまい個体が激減してしまった哀しい場所です。
それでも今日ここへ来たのは、今まで自分が採ってきた中で最も格好良い型の♂が採れた特別な場所だからなんですね。

時刻は午後を回り、居れば確実に見えているハズなのですが・・・
残念ながら1頭としてクワガタを見つけることが出来ませんでした。

見た感じ、発生木まで無くなってしまったとは思い難いのですが、重機の手から辛うじて逃れたケヤマハンノキには新しそうな齧り痕が見つかりません。ポイントはもう既に終わってしまったのかも知れません。


諦めて今日最後のポイントへ向かってもよかったのですが、
まだ時間があると云う事で、この終了ポイントからさらに奥へと続く廃道に踏み入ってみることにしました。道が草木で埋め尽くされ、ただの藪と化したこの奥へは今までも何度か入ってみようとは思ったのですが、あまりの深さにヒメオオの雰囲気を感じ取れず未調査だったのです。

入っていくと、やはり見かけ倒しとはいかずまるで進めません。
ただただ時間を消費し、なんとかヤナギ1本に齧り痕複数と♂1頭を見つけることが出来ましたが、網を持たずに来たので回収できずそのままにして引き返すことにしました。
まだもう少し先はあったのですが時間が待ってくれないもので・・・(焦)

車に戻り、最後のポイントへ向かいました。


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後に到着したのは、
自分がヒメオオのポイント開拓にのめり込むきっかけになった場所です。

つまり、初めて自分で見つけたヒメオオポイントです。


 【ポイント開拓にのめり込むきっかけになった場所】
   ⇒ 2011-10-23 『ヒメオオビギナー自力採集』


ここも、個体数が多くおそらく他の採集者は知らないと思われる場所なのですが、毎年は採りに来ていない場所でほっとくのがもったいない場所。
そして心配事として、年々林道が荒れてきて一部では崩落も見られるようになったりして刻々と地形が(悪い意味で)変化している場所でもあります。


ポイントに到着しましたが、ヒメオオが付いていた木々の手前が鬱蒼としてしていて、発見当初の2011年の光景とはまるで違う空間です。
ヤナギも齧られまくった所為か葉がほとんど無く折れてしまったものまで・・・
それでもヒメオオはいくつか付いていて、
CA3I0669.JPG
おこぼれに預かるスジの♂も発見できました。このポイントでは初記録。

採れた個体もそこそこ良い型をしていて、中でも
サイズこそ50mm程度でしたがピカピカで大腮のラインがきれいで自分好みだった個体が採れたのですが、
CA3I0670.JPG
手に乗せたままケースを出そうとリュックに意識が向いた一瞬のうちに落下し、まさかの紛失を犯してしまいました・・・

環境の風化といい、精神的にも結構キテるのですが、続いて先へと進むとまた見た事が無い光景が・・・

CA3I0680.JPG
林道を沢が横断していました。
右上方向へ進むワケですが、この水の流れ・・・雨の後で一時的に流れていると云うレベルの話ではなく完全に沢筋が出来上がっていました。
この向こう側(画像右上の辺りにあるヤナギ)にもヒメオオがベタベタ付いていたのですが、これではヒメオオも渡ることが出来ないからでしょうか、全くヒメオオが付いていませんでした。

最後の望みは一番奥のポイント、100mほど先のヤナギ密生地に賭けるしかなくなりました。
最後のポイントは、3~4年ほど前にポイント直前の道が一部崩落していてそのまま放置されている状況でした。







しかし、その崩落ポイントまで辿り着くとそこにはあり得ない光景が広がっていました。





CA3I0671.JPG
絶望的なまでに崩壊していました。

画像上部に見える藪のような物は紛れも無くヒメオオの付いていたヤナギそのもの
身体の力が抜けてしまいました。

おそらくは何日か前に青森を通過した台風の影響で、増水で地盤が緩み崩れてしまったものだと思われます。
崩れ去った跡には、土砂で汚れてすらいないきれいな岩盤が露出していました。
足場に注意しながらヤナギの残っている場所まで辿り着くと、絶望的な状況が次々と発覚します。

先ほどの画像上部で倒れているヤナギに登って先を見ると
CA3I0678.JPG
林道だったところを勢いよく水が流れています。
画像中央部がヤナギの群生箇所、画像左奥が元々流れていた沢です。

CA3I0672.JPG
ヒメオオの齧り痕も手伝って、枝も折れてしまっています。

立ち残ったヤナギの下まで来ましたが、
地面がかき回されてしまってどこから来たのか・どこに在ったのか分からない木の枝や枯れ木で埋め尽くされています。
浸水していないだけで、林床も全て壊れてしまったことになります。

後ろには沢が流れ、前も塞がれてしまい完全に陸地として孤立してしまったこの一帯にヒメオオはもう居ないのか・・・
と思ったのですが、



CA3I0673.JPG
いました!!
♂が矢印部分に見えます。
引いて見ると、
CA3I0674.JPG
直ぐ下には速い水が流れています。ちょっとしたきっかけで直ぐ水に飲まれてしまう環境でなんとか踏ん張っていました。


他にも同じように、
CA3I0675.JPG
いつ水に落ちてもおかしくないこの限定された空間で複数の個体が枝にしがみ付いていました。全身に泥を被ったあとがあり、どのタイミングでこうなったのか気になります。
おそらく、今期居たヒメオオ全体の内何割かは流されてしまったのでしょう、例年であればここだけで10~15頭は採れたのですが・・・。ただ、この環境だと正直、生き残りが居た事自体が驚きではあります。


歩いていけるギリギリ奥まで行って振り返ると
CA3I0676.JPG
どこから流れてきたのか分からない大きな枯れ株が林道の真ん中に見えます。土石流が起きた当時は一体どんな様子だったのでしょうか。

CA3I0677.JPG
以前は何ら問題ない普通の林道だったのに今は水の底です。


2011年に見つけて以来、大事に守り続けてきたポイントでしたが、
崩壊すると云う最期は予想していなかっただけに筆舌に尽くし難い心苦しさがじりじりと押し寄せてきます。8年と云う長い年月を憶えているからか、古い友達を亡くしたかのような虚脱感(実生活では未経験だが・・・)を覚えます。ちょっと目頭が熱くなってしまいました。
このままでは全滅は時間の問題だと判断し、この崩壊ポイントの個体を全て回収し、手前のポイントに戻りそこで放しておきました。


CA3I0679.JPG
結果このエリアでは、逃げられた個体を含め15頭しか採ることが出来ませんでした。以前はもうちょっと広範囲にヒメオオが見られたのですが、今回は採れたポイントが限定的でした。
採れた個体の内、最初のスジ♂1頭とポイントの一番最後の樹に付いていた♂1頭のみを持ち帰ることにして車へ戻りました。


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今回の採集は上記3ヶ所を回って採集し、個体数は今期これまでのヒメオオ採集の中では圧倒的に多い日でしたが、それ以上に今年で一番寂しく苦しい気分になった日でもありました。
自然で起きた事象とは言え、2週間近く経った今でも未だ呑み込みきれていません。
思い返せば、このポイントが在り続けていると云う安心感が心のどこかにあったからこそ、危険で不安な場所まで新規開拓を続けてこられたのではと思えなくもありません。


これまでは、ある意味高を括って放置していたのですが、
この事態を見せられ考え方が変わりました。

もしそこで採れなくなってしまうのだとしたらその最期を自分の目で見届けようという事で、来年以降毎年最盛期に通ってその推移を観察していこうと思います。
採集記にはしなくても、その内容をブログにも残す予定です。



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ぶなちろ

私も毎年県内多産地で観察していますが、採集圧も多く環境変化が激しいです。でも同じ場所を通年観察することはとても意義のあることだと思います。記事を読みながら「その年の個体は一期一会なんだよなぁ」と感じました。それにしても沢山いるようで羨ましいです。
by ぶなちろ (2018-10-14 22:12) 

会長

ぶなちろさんこんばんは、

多産地とは言え採集者が殺到すると個体数が如実に減っていくので、扱いが難しい虫ですよね。アカアシやミヤマと違って採った傍から全部持ち帰ると2~3年後には激減しますからね。ポイントを新発見したタイミングで見る個体数が特殊だとも言えるのですが・・・
その年の個体は一期一会・・・まさにその通りですよね、その言葉をどう受け止めるかどうかで採集圧にも関わってくると考えると、自分もこの期に及んで自分の採集のやり方にブレが生じてきてしまいそうです。

なにやら、先日東京で行われたフェアでも今年はヒメオオの数は少なかったようです。実際に個体数が少なかったのかも知れませんが、「人に知られたポイントの個体数激減」と「個体数の多いポイントの秘匿化が進み人前に出回らない事」の二極化が進んできているのではないかとも思ったり・・・

by 会長 (2018-10-14 23:15) 

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